「あのさ、聞いてよ、御剣。 僕ヘンな夢を見たんだよね」 「どんな夢だね?」 「それがさ、御剣がメガネを掛けてるんだよ。 似合ってて格好良かったけどさ。 あれって何だったんだろうなぁ。 もしかして、僕にそんな願望があるのかもね」 「そういえば、私も妙な夢を見た」 「え? どんなの?」 「君の髪型が微妙に変わっているのだ。 前髪を垂らしていて、 どうにも違和感が拭えなかった。 私にはそのような願望は無いはずだが……」 「へぇー、不思議なこともあるモンだね。 でも僕の前髪はともかく、 御剣のメガネは良いと思うよ」 「君がそんなにメガネ好きだとは知らなかったな」 「だってさ、メガネってロマンがあるじゃない。 外した時に素顔が見えるとドキッとするし、 僕が外してあげるっていうのも、 なかなか色っぽいよね」 「何故、私のメガネを君が外すのだね」 「そりゃあ、もちろん。キスをする時に邪魔だから」 「そ……っ、そのような心配はしなくても宜しい」 「まぁ、実際の御剣はメガネを掛けていないんだし。 僕がキスをしたいと思ったら、 いつでも出来るってワケだ」 「ム……、何だか急に メガネを掛けたい気分になってきた」 「それはそれで僕としては大歓迎だよ、御剣」 「…………君という男は」 「惚れ直しちゃった?」 「その途方もなく前向きなところだけは褒めてやろう」 おわり