『運が良い人悪い人』




「あ、御剣。神社があるよ。
 おみくじ引いていこうよ」
「いきなり何だね。おみくじ……?」
「ほらほら、御剣。早く早く、こっちだよ」
「君は……。おみくじを引くのなら、
 お参りをちゃんと済ませないと」

「堅いこと言わない。
 えっと、僕は……27番。
 はい、次は御剣の番だよ」
「ム……、49番か。あまり縁起が良くないな」
「やったー、大吉。
 願い事は全て叶う、だってさ。御剣は?」
「こんなものには何の効力も無いのだから、
 何が出ようとも……」

「グダグダ言ってないで、見せてよ。
 って、何コレ……大凶?」
「やり直しを要求する」
「おみくじって、そんなに何回も引いて良いのかなぁ?」
「このままでは寝覚めが悪い。では、今度こそ!」
「どうだった? あーあ、今度は凶だよ。
 そんなことってあるんだね」

「……何故だ、何故なのだ。
 成歩堂は大吉、私は大凶……」
「そもそも僕は大吉しか見たことないけどね。
 凶なんて都市伝説だと思ってたよ。
 本当にあるんだなぁ。ちょっとびっくり」

「嫌味か、それは。
 私は大吉など生まれてこの方、一度も引いたことがない」
「それはそれでスゴイよ。確率的に考えて」
「何の慰めにもなっていないから止めてくれ」

「うーん、困ったな。
 あ、ほら。御剣、見てごらんよ。
 このおみくじ凶だけどさ、『縁談』の所は、
 良き人に巡り会えるって書いてあるよ。
 当たってる、当たってる」
「むしろ凶のおみくじが当たっていたら、
 良くないのではないだろうか……」

「まぁ確かに、僕と御剣の関係は『縁談』じゃないか。
 あ、こっちにちゃんと『恋愛』の項目があったよ。
 どれどれ……。『一線を越えるな』……だってさ。
 すでに越えちゃっている場合はどうなんだろうね。
 あははは」

「……こうなれば」
「どうしたの、御剣。なんか様子がヘンだよ」
「こんなものに私は屈せぬ!
 大吉が出るまで何回だって引いてやる!!」
「うわぁー、御剣。ちょっと待ってよ、無茶するなって」

「ム……、小吉か。少しはマシになったな。よし、次だ!」
「あー、まぁ頑張れ……」


           おわり

 
読んで下さってありがとうございます。

ナルホド君が強運なのは見てのとおりですが、
御剣さんはカクジツに運が悪い人でしょうね。
間が悪いというか、そんな人。

でも自分はあんまり自覚がなくて、
「何故なのだ……」と思っているんですよ。
ついでに雨男だったりしたら可愛いと思います。

ところで、おみくじの内容について。
『一線を越えるな』ですが、
ネットでおみくじの画像を検索していたら、
(どんな項目があったっけ?と思って)
偶然発見したものです。
つまり現実に存在するってことですね(笑)。
なかなか鋭いところまで踏み込んでくるな、神様。

2013.07.25

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