『 デート 』




「ねえ御剣、今日は何食べたい?」
「何でも構わんよ、君の好きなように」
「うーん、そうだなぁ。この前のデートではイタリアンだったから、
 今日は落ち着いた和食なんてどう?」

「……聞き捨てならないな」
「ん? いきなり怖い顔して、どうしたの」
「君はいったい誰とデートをしたというのだね」
「質問の意味が分からないんだけど」
「私以外の誰とイタリアンを食べたのか、と聞いている」

「だから……、お前だろ?」
「ム……?」
「この前、一緒に食事したじゃないか。
 忘れちゃったんじゃないだろうね」
「ムロン、覚えている」

「だったら何の問題もないだろ?」
「だが、それは『デート』ではないのではないか?」
「えーっと、ゴメン、良く分からないよ。
 お前の定義する『デート』って何?」

「恋人同士の男女が一緒に出掛けることだろう」
「ああ、そういうことか。一般的にはそうなんだろうね。
 でも僕たちだって一応、恋人同士なんだしさ。
 『デート』ってことで良いんじゃないかな?」
「ムう……、そんなものだろうか」

「あんまり深く考え過ぎるとハゲるぞ」
「そ……、それは困る」
「だったら、ちゃんと認識を改めてよ。
 僕と一緒に出かける時は、『デート』だよ、いいね?」
「…………分かった」

「ちょっ、なんで急に真っ赤になるんだよ。
 ホントお前って可愛いヤツ」
「か……、からかうな……っ!」
「それじゃ、御剣。僕たちの初デートに行こうか」
「……そうしよう」



           おわり

 
読んで下さってありがとうございます。

小話を書く時には、なるべくオチを付けたり
コメディっぽいノリにしようと思っているのですが、
(出来ているかどうかはともかく)
ナルホド君をボケにするよりも、
御剣さんをボケにした方が、
書きやすいことに気付きました。

考えてみたら、
ナルホド君ってツッコミですもんね。
いろいろな意味で御剣さんに突っ込むワケですね。
自分で書いていて馬鹿馬鹿しくなってきました……。

えっと、小話の二人は出来上がっている状態なので、
こういう初々しい話って逆に新鮮です。
御剣さんが可愛ければいい、と思っております(笑)。

2013.08.07

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