『 Call me 』




「どうした成歩堂。いつもに増して精彩を欠いているが」
「おふぁよう、みちゅるぎ。
 ふぁ……ぁ、最近ちょっと寝不足でね」
「そのようだな。全く口が回っていない。
 弁護士としてあるまじきことだ」

「ごめんごめん。あ、でも今の、良かったよね!」
「何がだね?」
「だから、みちゅるぎって言うの。
 可愛くてイイじゃない。これから、そう呼ぼうかな」
「異議あり。
 そんなことをすれば金輪際、君との縁を切る」

「えー? それは困る。
 って、このくらいで大げさだなぁ、御剣は」
「大げさなものか。名は体を表すと言うだろう。
 呼称とはそれはそれは重要な……」

「ハイハイ、分かりました。
 でもオバチャンには
 『ミッちゃん』なんて呼ばれてるじゃないか。
 あれが許されるなら、
 『みちゅるぎ』だって良いんじゃないの」

「私は『ミッちゃん』とやらを
 一度たりとも容認したことはない。
 当然ながら『みちゅるぎ』も却下だ。
 そもそも君は私のことを
 名前で呼ぶことも出来ないくせに」

「えっと、それはだってさ。
 何だか照れくさいんだよ。いくら恋人とは言っても。
 でもそういう御剣だって、
 僕のことを名前で呼んだことはないじゃないか」

「鋭意努力中だ。いずれはな」
「あれ? そうなんだ。それじゃ、楽しみにしてるね。
 僕もこっそり練習しておくよ」
「良かろう。では私もその時を楽しみに待つとしようか」



            おわり

 
読んで下さってありがとうございます。

私はこの二人が名前で呼び合うことを、
どうしても想像することが出来ません。

どれほど仲良くなったとしても、
成歩堂、御剣、と言いあっている気がします。
たとえベッドの中でもね(苦笑)。

ちなみに『みちゅるぎ』のきっかけは、
私の打ち間違えからです。
自分で打ち込みながら、笑っちゃって。
『ちゅるや』さん的なアレを想像してもらえれば。

2013.07.25

戻る     MENU