『暑い日』




「今日は暑いねぇ、御剣」
「ム……、そうだな。確かに今日はかなり暑いようだ」
「それなのに、そんなに着込んで平気なの?」
「だからといって、公衆の面前でハダカになるワケにもいくまい」

「いやいや、そこまでしろとは僕だって言わないよ。
 せめてジャケットくらい脱いだらどう? ってこと。
 そんなダラダラ汗掻くくらいなら」
「私は汗など掻いていない」

「やせ我慢しちゃって。
 その服の下は汗びっしょりなんじゃないの?」
「そのようなことは断じて無い!」
「うんうん、分かるよ。
 ジャケットを脱いだらシャツが汗まみれで、
 下着が透けちゃったりしたらね、すごく恥ずかしいよね、うん」
「そそそ……、そのようなアレは……っ」

「腕を上げたら、ワキ汗びっしょりだったりしてね。わー、大変だー」
「そんな話をされた後で、ジャケットを脱げるとでも?」
「え? あっそうか。失敗しちゃったなぁ。
 問答無用でジャケットを剥ぎ取れば良かったよ」
「な……っ」

「せっかく御剣の恥ずかしい姿を見られるところだったのに」
「……危ないところだった」
「ああ、それとも今からお前の部屋に行って、
 僕が優しくジャケットを脱がせてあげても良いんだけど?」
「部屋に来るのは構わんが、ジャケットくらい自分で脱げるのでな」

「あはは、バカだなぁ。
 部屋に行ったら、ジャケットだけじゃなくて、
 他にもアレコレ全部脱がせるに決まってるだろ」
「ムぅ……、では部屋は却下だ」

「うん、僕はどっちでも良いよ。
 そのジャケットの下が汗でびっしょり濡れている
 御剣を想像するだけで楽しいしね」
「……君がそこまで悪趣味だとは」

「それが嫌なら、一刻も早くエアコンの効いている御剣の部屋に、
 行った方が良いと思うけどなぁ」
「うぐぐ……、致し方あるまい」
「それじゃレッツゴー!」



           おわり

 
読んで下さってありがとうございます。

えっと、小話はふと思いつくと、
10分くらいで書ける場合もあって。
これもそんな感じだったのですが。

……即興って、怖いですね。
改めて読み返して反省しました(苦笑)。
何というかナルホド君がヘンタイすぎませんか。
読んだ方がドンビキじゃないですか。

本当はもっとやらせるつもりで、
御剣さんの汗を舐めたりだとか、
御剣さんの汗の匂いが好きだとか、
ナルホド君にあんなことやそんなことを!
どうにか思い留まった自分を褒めてやりたいです。

2013.08.05

戻る     MENU